<004>「斉藤哲夫」、1970年デビュー。ときに「哲学者」ときに「グッドメロディーなシンガーソングライター」。全アルバム紹介<後編>。

斉藤哲夫後編

キキオです。
本日も『キキオ案内所』にお越しいただきありがとうございます。

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はじめに

今回は<003>号の続き。

1970年にデビューしたシンガーソングライター・斉藤哲夫さんの全アルバム紹介
その後編をお送りいたします。

4枚目までについて書いた前編はこちらからどうぞ。

ずばり、斉藤哲夫の「おすすめアルバム」

まず、後編の冒頭ですが、わたしなりのおすすめをここでしっかりと書いておきます。

ずばり、最初の1枚は、3作目の『グッド・タイム・ミュージック』がおすすめです。

その後の順番で行くと、2枚目の『バイバイグッドバイサラバイ』、1枚目の『君は英雄なんかじゃない』、4枚目の『僕の古い友達』と聴き進めていくのが良いかと思います。

斉藤哲夫(以降登場人物の敬称略)が持つ、あふれんばかりのポップさ、おしゃれさ、かっこよさ。
そんなものがきっと伝わると思います。
また1枚目では「哲学者」と呼ばれた斉藤哲夫にも触れることができます。

まずこの順番がおすすめ。

と言うわけで、後編のアルバム紹介は、その後のステップとして読んでいただければ幸いです。

Apple Musicでは、『PIKA PIKA』『ダータ・ファブラ』、最後に紹介する参加作品3作以外は聴くことができます。

それでは、全アルバム紹介後編、始めます。

後編の前に、補足

前回の前編、今回の後編と読んでいただけると斉藤哲夫の全体像がわかると思います。

斉藤哲夫をめぐる人脈をたどると、バンド「はちみつぱい」、のちの「ムーンライダーズ」の人脈と大きな関係があることがわかります。

その点について簡単に補足しておくと。

斉藤哲夫は明治学院大学に在籍。
1960年代後半、明治学院大学では学生運動がさかんだったそうです。

そんな中、のちにバンド「はちみつぱい」のメンバーになる渡辺勝と知り合い、斉藤哲夫は彼に誘われ、その時期それほど学生運動がさかんではなかった(らしい)立教大学に出入りするようになります。

立教大学には、「OPUS」(オーパス)と言う作詞作曲研究会があり、渡辺勝はその会長でした。
そこには、のちに「はちみつぱい」「ムーンライダーズ」になる武川雅寛岡田徹白井良明らが在籍。
同時期に鈴木慶一とも出会いました。

そこから斉藤哲夫は「はちみつぱい」「ムーンライダーズ」の人脈の中にも位置していくことになります。

この点は、斉藤哲夫にとって、とても大きなことだと思いますので、補足します。

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全アルバム紹介「後編」

『A Pierott.../一人のピエロ』(1979)

1979年にリリースされた5枚目のアルバム
このアルバムからキャニオン・レコード(現ポニーキャニオン)でのリリースです。

このアルバム、わたしは繰り返し繰り返し聴きました。
2009年の2月にCD化されたのですが、その時インフルエンザにかかっており…。
高熱でうなされる中、次作とともに何回も聴いていました。
変なことばかりが思い出になっていきます…。

と、個人的な話をしたところで…戻ります。

全体的に落ち着いたトーンですが、グッドメロディーは健在
口ずさみたくなる曲がたくさんあります。

わたしは、特にオープニングを飾る「セレナーデ」が好きです。
斉藤哲夫のロマンチックな部分がとても好きなのです。
80年代のものだと思うのですが、FMをエアチェック(この言葉ももはや死語ですね…)した弾き語りでのスタジオライブを、音楽を愛するかなり年上の方に聴かせていただきました。
わたしが20代前半のことです。
(補足すると「エアチェック」とは個人が私的に聴くためにラジオを録音することです。)

その中で「セレナーデ」が演奏されていました。
とても印象に残りました。
歌詞を一部引用すると…

長い髪が素敵だな
今夜の君は月もかなわぬ
見上げる窓にうつる影
君に届けとセレナーデ

斉藤哲夫「セレナーデ」より引用

大好きです。

参加ミュージシャンは、基本のバンドとして、
ドラムにロバート・ブリル
ベースに後藤次利
エレクトリック・ギターに水谷公生
アコースティック・ギターに笛吹利明吉川忠英
キーボードに田代マキ渋井博と言う面々。

また特筆すべきは、ムーンライダーズがバンドとして参加していることです。
ドラムにかしぶち哲郎
ベースに鈴木博文
ギターに白井良明
キーボードに岡田徹
の4人が参加しています。

どちらの編成での演奏もメロディーをとても大切にされた編曲で、素敵な作品になっています。

前編での4枚の次のステップにぜひ。

なお、CD、配信ともにボーナストラックとして、アルバム未収録曲が3曲おさめられています。
79年のシングルで今作に収録されている「ダンサー」のB面曲「日の暮れぬまに」、
80年リリースのシングル「足音だけのランナー」とB面曲「ダンシング ステップ」です。
配信ではシングル作品としても聴くことができます。

追記 今回改めて検索したところ、CDは廃盤で入手が難しいようです。
Apple Musicなど、各種ストリーミングサービスでお楽しみください。

『いつもミュージック』(1980)

1980年、キャニオン・レコードからリリースされた6枚目のアルバム

後述しますが、ミノルタの一眼レフカメラのテレビCMで使われたシングル「いまのキミはピカピカに光って」の直後にリリースされました。
宮崎美子が水着になるこのテレビCMをご記憶の方は多いと思います。
それは次の項目で触れますので、とりあえず置いておいて。

この作品も、ポップであり、印象に残る曲がたくさんあります。
斉藤哲夫作品を語る上で、優先度は高くはないと思いますが、デビューからの4枚で斉藤哲夫の魅力が伝わった方にはきっと届きます。
タイトルトラックでありオープニング曲「いつもミュージック」はじめ地味ではありますが、良いアルバムです。

参加ミュージシャンのクレジットが、「Good Time Vocal」や「Powerful Drums」のような表記になっていて楽しいです。

クレジットをあげておくと、
Good Time Vocal:斉藤哲夫
Powerful Drums:成沢彰三
Human E.Bass:原田憲二
Technical Guitar:高田弘太郎
Driving Guitar:田島俊朗
Sexual Keyboards:国吉良一
Blue Sky Chorus:ロブ・バード

と言う基本のバンドに、
Strings:トマト
Percussion:鳴島英治
Accordion:渡辺裕美子
Harmonica:野沢享司
このような方々が参加されています。

クレジットは、ストリーミングが中心になっている現在では知りたい方もいるかと思い、書き写しました

このアルバムから実質的な次のリリースまで12年を要します
そのあたりのことは、そのアルバムの紹介で触れたいと思います。

なお、前作に続きCD、配信ともにボーナストラックが2曲収録されています。
80年リリースのシングル「ひょんなことから有頂天」と「いまのキミはピカピカに光って」です。
こちらもシングルとしても配信されています。

追記 今回改めて検索したところ、前作に続き、CDは廃盤で入手が難しいようです。
Apple Musicなど、各種ストリーミングサービスでお楽しみください。

『PIKA PIKA』(1980)

と、ここでミニアルバムがキャニオン・レコードから出ます。

ミノルタの一眼レフカメラのテレビCMに斉藤哲夫が歌う「いまのキミはピカピカに光って」が起用されました。
宮崎美子が出演したCMの話題性もあり、シングルリリースされオリコン9位まで上がりました。
それにより発売された、企画性の高い作品だと思います。

CMの曲(と言ってもフルヴァージョンは新たに録音されたもの)の他にはシングルのB面曲、過去のアルバムの曲が収録されており、やはり企画アルバムだと思います。
とは言え、ご本人の公式ホームページではきちんとディスコグラフィーに掲載されています。

リリース当時のご本人の気持ちはわかりませんが、糸井重里作詞、鈴木慶一作曲によるCM曲は、本人が作詞作曲していないとかは関係なく、ポップで良い曲に感じます。

このアルバムはCD化もされていませんし、ストリーミング配信もされていません
今後もおそらく再発売はないと思います。
ただ収録曲をそれぞれバラバラに、ストリーミング配信で聴くことは可能です。

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『ダータ・ファブラ』(1992)

前作から12年の間があきました。
1992年、やっとオリジナルアルバムが届きました

80年代の斉藤哲夫は、トラックの運転手をしながら音楽活動をしていたそうです。
弾き語りでのライブ活動は地道に続けていました。

そして、届いたこのアルバム。
一曲目の「甘いワイン」を聴いた瞬間にキキオは「やったー!」と思いました。
先日惜しくもお亡くなりになったセンチメンタル・シティ・ロマンスのギタリスト、中野督夫のドライブする、からりとしたギターから始まるこの曲で、このアルバムの充実を確信しました。

ビートルズを想起させるコーラスワークも冴え渡ります。

久しぶりに届いたこの作品。
70年代に斉藤哲夫を聴いていた方にも届いて欲しいアルバムです。

参加ミュージシャンをあげておくと、
ギターには前述した中野督夫
ドラムには山下達郎と大貫妙子を擁した「シュガー・ベイブ」の初期メンバー、現「センチメンタル・シティ・ロマンス」の野口明彦とこの後も斉藤哲夫と活動をともにする東島正知
ベースには「子供バンド」で知られ、現在はシンガーソングライターとしてもご活躍されている湯川トーベン
アコースティック・ギターとプログラミングの他、ベースとしてもクレジットされている斎和重
鍵盤には中野督夫と湯川トーベンとの活動がとっても嬉しかった永井ルイ(永井RUI表記)、
ピアノは2000年に再結成された「五つの赤い風船」にも参加している竹田裕美子
エレクトリック・ギターには「はちみつぱい」のメンバーである本田信介、近藤房之助のレコーディングはじめブルーズを中心に活動されている和田潔
ガット・ギターに添田俊春。 

またミックスのエマーソン北村の仕事も見事です。
さらにアートディレクションを永井宏が手がけているのですが、それも素敵です。

完全なオリジナルアルバムとしては最新作となりますので、多くの人に届いて欲しいのですが、このアルバムは残念ながらストリーミング配信されていません
自主制作ということで難しいのでしょうか。
CDは入手可能ですので、ぜひ。

追記 こちらのアルバムも今回あらためて調べると、CDの入手がかなり困難です。
聴きたい方はAmazonで中古をチェックしてみてください。

『spinach』(2009)

2009年にポニーキャニオンから出たセルフカヴァーアルバム

2021年現在、一番新しい音源です。

過去の名曲がたくさん。
この時点で、ご自身の中で特に大切にしている曲が選ばれているのだと思います。
選ばれている曲目を見ると、なるほど、確かにベストな選曲です。
リリースされて手に取った時、大好きな曲ばかりで嬉しかったことを覚えています。

力が抜けた開放的なサウンド。
斉藤哲夫の充実が伝わってくる気がします。
また、自宅録音(いわゆる宅録)な雰囲気もあり、本人が重ねたと思われる重層的なコーラスワークも素敵です。

参加ミュージシャンは、この時期、ともに活動されていた方々。
キキオは、ピアノのさがみ湘とのライブを拝見しました。

参加ミュージシャンは、
ドラム、パーカッションに東島正知
ギター、ベースなどに斎和重
ピアノ、オルガンに竹田裕美子
ピアノにさがみ湘
ピアノに斉藤哲夫の娘さん、斉藤真理子
エレクトリック・ギターに田島俊朗
最後にアコースティック・ギター、野澤享司(野澤享司の「澤」の字はクレジットによって「沢」だったり「澤」だったり揺れています)。

脱線しますが、野澤享司は、鈴木慶一に、高校の同級生だったかしぶち哲郎を紹介。
それがきっかけで「はちみつぱい」「ムーンライダーズ」につながる。
今回斉藤哲夫を深掘りしていたら、そんな話もふと思い出しました。

このアルバムは、Apple Musicでも配信されています。

充実したサウンドをぜひ聴いてください。
名曲を今の斉藤哲夫で聴く
入口としても良いかもしれません。

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その他、コラボレーション作品など

今回調べたら、コンピレーションアルバムなどもかなりの数があるようですが、その中で重要な作品と思うものを3作、最後に書き留めます。

吐痙唾舐汰伽藍沙箱/『溶け出したガラス箱』(1970)

この作品に触れないわけにはいきません。
1970年にURCからリリース
「五つの赤い風船」の西岡たかし、ジャックスはじめ六文銭、ザ・ナターシャー・セブンなどで活躍した木田高介とのユニット。
レコーディングだけのユニットです。
全曲西岡たかしの作詞作曲で、斉藤哲夫はボーカリストとして参加。
西岡たかしとともに歌っています。

そのサウンドは聴いてくださいとしか言えませんが…。
一言で言えば、実験的
斉藤哲夫の歴史を語る上では重要な作品だと思います。

吐痙唾舐汰伽藍沙箱(とけだしたがらすばこ)がバンド名、『溶け出したガラス箱』がアルバム名です。

Apple Musicでは配信されていませんので、ぜひCDを。

五つの赤い風船/『ゲームは終わり』(1972)

西岡たかし率いるバンド「五つの赤い風船」。
その1972年の解散実況盤です。

斉藤哲夫は1曲だけですが、たくさんのミュージシャンが参加していて、この時代の日本のフォークシーンが記録された貴重な盤です。

2015年に完全盤として6枚組が出ました。
時代の記録としても、日本フォーク史を語る上でも重要な作品かと思います。

『ゲームは終わり』と言うタイトルも、解散を迎える西岡たかしの当時の決意を感じさせて、グッとくるものがありました。

このアルバムも残念ながら、Apple Musicでは配信されていません

生田敬太郎&斉藤哲夫/『生田敬太郎&斉藤哲夫』(2000)

最後の最後に、斉藤哲夫と同時期、1971年にエレックレコードからデビューした生田敬太郎とのアルバムをあげておきます。

生田敬太郎と斉藤哲夫、アルバム全体のちょうど半分ずつの曲が収録されています。
考えてみれば、URCの最初のアルバムも高田渡と五つの赤い風船がA面とB面を分け合う形でした。
CDや配信の時代には無くなってしまった「A面」「B面」の感覚があります。

お互いに少しずつですが、参加もしています。

斉藤哲夫の部分だけを言えば、実に力の抜けた良いサウンド
旧知の渡辺勝の参加も光ります。

こちらも残念ながら配信では聴けません

最後にこのアルバムをとりあげたところで、斉藤哲夫全アルバム紹介の締めとしたいと思います。

最後に

前編、後編に渡って、シンガーソングライター・斉藤哲夫の全アルバムと一部の参加作品をご紹介しました。

モダーンで洒落ていて、グッドメロディーを生み出し続ける斉藤哲夫という存在を多くの人に知っていただける、その一歩になればと願っています。
もう聴いているよ、知っているよという方にも、クレジットなどご参考になれば嬉しく思います。

繰り返しになりますが、まず初めの1枚は3枚目の『グッド・タイム・ミュージック』です。
そこから聴き進めるガイドとして使っていただけたら、と思います。

斉藤哲夫。現在71歳。
新作アルバムが届く日を楽しみにしています。


2回に渡り、大変長い記事になりましたが、お読みいただいた方、本当にありがとうございます。

わたし、キキオの斉藤哲夫さんへの愛が少しでも伝われば…幸いです。

キキオ

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